Lying Eden

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そこは綺麗な庭園でした 枯れない花が咲き誇り 鈴の声を持つ小鳥が飛び 中央の噴水からは きらめく陽光を受けて水がはね 小さな虹を作り出します 穏やかな調べが流れ かぐわしい香りが満ち そこで人々は安らぎを得ます そこは楽園 世界の楽園 幸せの園 たった一つ そこだけが さあ 楽園の外に出れば そこに積み上がる死屍累々 黒塵をまとう雲は 陽を通すことなく 焦土の大地に草木は無く 生命の欠片すら見つからない 誰にも見つけることはできない だけど 楽園の人々は幸せです だって彼らは楽園の外を知らない そこは綺麗な楽園でした 絶望と死と滅びが支配する世界で 唯一の楽園でした
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