グラスの向こうの君

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「この向日葵も綺麗じゃが、すみ江さんはもっと綺麗じゃった」 自慢気に向日葵に向かって話す。 「そうですか」 すみ江は少し照れ臭そうに答えた。 「そういえば、すみ江さんはどこいった?」 毎日毎日探される。 50年前と今の姿が夫の中で一致しない。 アルツハイマーの進行を止める事は出来ない。 「あなた、私はここですよ」 それでも、「私があなたの妻ですよ」毎日毎日アピールする。 いつもなら、「どちらさんですか?」そう返ってくるのだが、今日は違った。
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