一、御伽噺の語り出し

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一、御伽噺の語り出し

昔々。 あるところに、ちいさな村がありました。 その村は、森の中にひっそりと住まう人々の村でした。 止まったような時間の中で、雪はこんこんと村に降り注いでいました。 あるとき。 常に雪に覆われた村の、唯一他の街へとつながる道に、女の子が倒れていました。 彼女の名前はアリスエルダ。 名前以外なんにも知らない、女の子でした。 村の人々はアリスエルダを憐れんで、アリスエルダを住まわせてあげることにしました。 アリスエルダはとても良く働きましたが、その顔はいつもどこかぼんやりとしていました。 村の人々は、アリスエルダをアリス、と呼んで、可愛がりました。 さて、これは、ちいさなちいさなアリスエルダのお話です。 何も知らないおさないアリスエルダの可愛そうな物語。 そして、全てを知るちっぽけなミルファーレンの滑稽な物語。 最期はきっと、『めでたし、めでたし。』
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