―私の先生が、のびタロウである理由―

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「今日はゴメンね。でも山根から守ってもらえて嬉しかった」 相手の胸に顔を押しつけて言ったら 私の体を包み込んでくる腕の力が、ギュッときつくなる。 「あぁ。情けないとこ見られちゃったな」 「いいよ。約束でしょ? 絶対に、かっこよく振る舞ったりしないで。 他の女子に狙われちゃったらどうするの?」 腕の中で顔をあげ、拗ねた目で見あげると 相手がフッと笑いを漏らして 「そんなわけないだろ」 「そんなわけあるよ。 チハヤの素敵さがバレたらヤバい。 ずっと私だけのものでいてほしいのに」 そう。 私たち二人には、秘密がある。 この部屋の中だけで見せる顔がある。 学校とは別人の。 たぶん、それが本当の。 「困ったコだね。ワガママばかりで。 だけどオレが、こんな気持ちになるのは、全部シズのせいだよ。 そんな可愛いこと言うから、きっとダメなんだ」 唇同士が、軽く触れあって 「……好きだよ、チハヤ」 「ウン、知ってる」 今度は、深く重なりあって 「愛してる、先生」 「先生は、なし」 あぁそうだ。 学校以外では、名前で呼ぶ約束だったね。 「大好き」 「オレも」 【完】
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