―私の先生が、のびタロウである理由―

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「あれ?山根先生…声がすると思ったら、どうしたんですか?」 突然その場に現れた、のびタロウが 不思議そうな顔で、ゴリラ山根と私たちを交互に見た。 「あぁ鳴坂先生、いいところへ。 この二人とアナタが、4Fの階段でトラブってた…という情報を生徒から得ましてね。 今ちょうど問いただしていたところなんです」 山根の言葉に、なぜかほほ笑む、のびタロウ。 「あぁ、そうですか。大丈夫ですよ。 彼らは僕の授業中の指導方法について アドバイスしてくれていただけですから」 「いやアドバイスって、そんなアナタ…。 コイツらは日頃から、生活態度がなってないから 一度、親御さんを交えて指導したほうがいいんじゃないか…って話をですねぇ…」 「その必要はないですよ。彼らには僕からも、ちゃんと話をさせてもらいますし」 山根をなだめるような、穏やかな口調で、のびタロウがそう言って それからチラリと私を見た。 「それに彼女のほうは今、ご両親が海外に赴任されてるから すぐに来校してもらうわけにもいかないですよね。 今度のことは、大目に見てやっていただけませんか?」 「…そうですか? まぁ鳴坂先生がいいとおっしゃるならかまいませんが あんまり生徒たちになめられるのも、教師として、どうかと思いますよ」 山根に言われた、のびタロウが、ニッコリほほ笑む。 「そうですね。わかりました。気をつけます」
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