アタシの味

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誰か入ってきた。 コツコツコツ… 足音はアタシの前で止まった。 カチャ…カチャ、 伏せた頭の横の何かを拐われた気がした。 不思議に思いそろりと顔をあげると、やっぱりアタシのメガネが拐われてて、 犯されてた。 「あ、ヤベ、起きてた?」 「うん、つか、なにしてんの?」 アタシのメガネを広げて、耳にかける柄のところを、同じグループの佐伯の彼氏が舐めてた。 「どんな味かとおもって。」 「………は?」 「つか、前山最近ハブられてんだろ?それ俺のせい。」 「は!?」 「つい佐伯に同じこと聞いたらめちゃくちゃ怒ってたw」 つまり、あの佐伯に友達の味を知りたいとか言ったわけね。ふーん最悪死ね。 隣のクラスの佐伯の彼氏の山岸は、イケメンのくせに残念らしい。 「ねぇ、ハブられてんでしょ?」 「原因がしゃあしゃあと」 「ならいっそ、俺と付き合わない?」 アタシのメガネを舐めた口が、めちゃくちゃ楽しそうに笑った。
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