雪とランタン

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12月2日。 今日も雪かきをしている夢を見ました。 大地に降り積もった雪は、膝のあたりまであり、それをかきわけ、かきわけ、進んでいくのです。 持っているのは小さなスコップですので、少しずつしか進めません。 降り積もったばかりの雪はまだ軽くて、スコップを差し入れると素直に、ふんわりと乗ってくれます。 去年のバレンタインデーに、夫の為に焼いたガトーショコラの香りがどこからか漂ってきます。 泡立てたメレンゲを思い出しました。 ふわふわの卵白に、足を踏み入れ、それを、脇の方へ運んでは寄せて、一歩一歩進んでいくのです。 ふりかえると、私の背後には、道が出来ていました。 まっすぐに伸びた道が、白い平原に、青白く浮かんでいました。 ああ、こんなにも進んできたのか、となぜか、誇らしくなりました。 しかし、せっかくつくった道も、この降りやまない雪がやがて埋めてしまうのでしょう。 帰り道がわからなくなるかもしれません。 それでも、行かなければ、と、私は何か使命感のようなものを持っていました。 腰のランタンが、ほんわりと光を放ってます。 まっすぐに、私が進むべき道を照らしています。 この先に何があるというのかわからないけれど、とにかく、進まなければいけないのです。
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