雪とランタン

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とりあえず、ひととおり家の周りの雪かきが終わったので、僕は、家の中に戻った。 雪はまだ降りやまないけれど、一度休憩をしよう。 小さなキッチンがあった。 そこにあったやかんに水をいれ、お湯を沸かす。 戸棚に紅茶の葉がある。 ティーポットで、あたたかい紅茶を淹れ、椅子に座って一休み。 さて、僕は、ここで何をしているのか。 紅茶を一口飲んで考える。 えっと、僕の名前は…。 さっきまで覚えていたような気がするのだけれど…。 目の前にある、古びたブラウン管のテレビ。 気になって、電源をいれた。 砂嵐。 映らないか。 丸い手動式のダイヤルがあり、数字が「33」まである。 とりあえず「3」に回した。 すると、砂嵐だった画面に、映像が浮かんだ。 どこかの公園のようだ。 ブランコに乗っている小さな男の子…どこかで、見覚えがある…。 「タケト!おいで!」 僕の名前が呼ばれた。 ああ、この男の子は、2歳離れた僕の兄の幼い頃。 画面が動いて、兄に近づいて行く。 このチャンネルは、僕の年齢を現しているのでは。 試しにチャンネルを「6」に合わせてみる。 幼稚園の卒園式の映像が浮かぶ。 そして、そのあと、祖父母が家にやってきて、ランドセルをプレゼントされ…。 やはり、そうだ。
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