誘われた非日常

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 突然身体に振動を感じ手当たり次第にポケットに手を突っ込む。    振動の発生源であるスマホを見つけ出す。    液晶画面には同級生の名前が表示されていた。    「はいもしもし、何か用?」    「何か用? じゃないよ。お前、遅刻だぞ。代返しておいたから今日の昼、奢れよ」    前半はお叱りを受けているのはわかったが、後半は完全に集りに来ていた。おそらく、話の後半部分が本題なのだろう。    「わかったよ。サンキューなテツ。じゃあ、俺、今日はもう帰ってもいいよね?」    返答はわかりきっているのだがもしもということがある。僅かな可能性に期待を込めて訪ねる。    「何言ってるの?」    酷く冷たい返答。    「大丈夫。冗談だから」    間髪入れずに訂正をする。    本気で怒るあたり真面目な学生である。と思ったのだが、おかしな点に気が付く。    現在の時刻は午前九時をすでに回っている。    九時始まりの九十分講義の真っただ中にあって通話をしている彼は講義室にはいないのだろう。そうすると俺と大差ない気もするが貸しを作ったのも確かなので仕方なく登校することにした。
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