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次男を問いただしてみたけれど、答えるはずもなかった。
「お父さんに言えないことならそれはそれでいいよ。
でもね、言えないならソレは自分で解決しなくちゃいけないよ。」
黙っている息子に、俺はなんて辛辣な言葉を浴びせているんだろう。
けれども、それしか方法はないのだ。
何が視えているのかを隠していくとは、そういうコトも含んでいて、自分だけじゃなく相手も傷付けていく。
「何があったかはお父さんには分からないけど、いま、お前の中で後悔があるならソレを無視するのはよくないことだよ。
ダメだっておもいながらやってしまうことはあるかもしれないけど、それをやりっぱなしで無視することに慣れたら、
お前は自分の優しい部分も正しいと思う事も無視して自分で削っていってしまうことになるよ」
先生とは違い
耳神様は誰にも言えない良心の呵責そのものだと、俺はおもっているから。
良心の呵責や後悔に“慣れる”というのは麻痺であり
心が麻痺してしまうと人間らしさが失われるということになる。
…そんな怖ろしいことは他にない。
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