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「あ、西村さんお帰りなさ~い」
「た、ただいま芹香ちゃん」
華子のことで悩んでいたのにウッカリと、
昂くんと芹香ちゃんの絡みを思い出し、
…少し複雑な気持ちになった。
彼女自身は酔っていたから、
はっきりとは記憶に無いんだろうなあ。
でも、ごめん。
俺はシッカリ覚えてる。
ほら、芹香ちゃん色白だから。
上半身、裸だった姿が目に焼き付いて、
頭から離れないんだよ。
くうう。
…悶々としたまま、華子の隣りに座ると、
呑気に妹はこう言った。
「お兄ちゃん、私もこの家に住む!」
「は?」
あほか。
それじゃ俺がマンションを出た意味が…。
「1人暮らしって寂しいんだもン。
お兄ちゃんと一緒に仲良くココで暮らす」
「ダ、ダメに決まってるだろ!」
頬をポンポンに膨らませ、華子は続ける。
「あのね、すごく大事な話があるって、
山城麻里さんがマンションに来たよ」
「…え?山城さんが、どうして」
その名前を忘れられるはずが無い。
「お母さんと、哲哉お兄ちゃんには
もう会ったとか言ってた。
お兄ちゃんの本当のお父さんのことで、
大事な話が有るんだってさ」
へえ、と相槌を打った後で
ハタと気づく。
「華子?!お前『本当のお父さん』って、
俺たちのことを知ってたのか?!」
「え~っ、当たり前じゃないの。
おかしなお兄ちゃんねえ」
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