[芹香編] 第4章 西村side

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「俺とお前に血の繋がりが無いって、 いったいいつから…?」 「小1のときからよ。 小学校の入学祝いを持ってきたとき、 お祖母ちゃんがペロッと喋っちゃったの」 そ、そんな早い時期から? じゃあ、これまでの俺の苦労は? 必死でそれを勘づかせないよう、 隠してきた俺の努力はどうなるッ? …恐ろしいほどの虚無感が襲って来て。 ひたすら呆然としていると、 更に華子がトドメを刺す。 「だから私とお兄ちゃん、付き合えるよ。 だってお兄ちゃん、私のこと好きでしょ」 む、胸に極太の矢が刺さった感じだ。 もう俺、死にそ…。 「だって昂さんが教えてくれたの。 私のことが好きなのに、 家族を壊したくなくて我慢してるって。 そんな我慢しなくていいのに」 平静を装い、俺は言う。 「そういうワケにもいかないだろ? しかも華子はまだ17歳だ。 この先、年齢相応な彼氏をつくって、 学生らしい恋愛をだな…」 「お兄ちゃん、コワッ。 今どきね、そんな清廉潔白な高校生、 いないよー。 友だちなんか、皆んな非処女だし。 あ、でも私だけは違うわよ」 衝撃の告白に驚いていると、 華子は笑って言った。 「私ね、最初の相手はお兄ちゃんって、 そう心に決めてるんだからッ」
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