361人が本棚に入れています
本棚に追加
はっ?
「だから一家総出で応援してくれてるの。
私とお兄ちゃんのこと。うふっ」
はっはっ?
「『華子が和哉のお嫁さんになるなら、
結納とか両家の挨拶が不要でいいわね』
ってお母さんはそう言ってた~」
はっはっはっ?
「哲哉お兄ちゃんなんてね、
『華子を人身御供にさせるみたいで、
悪いなあ』って謝ってくれたし」
あ~っ、もうッ。
おかしいだろ、ウチの家族!!
「若くて可愛くてしかも生娘だよ。
これで文句言われるなんて、心外だな」
「は…なこ…」
なんかもう、反論する気が失せた。
なに言っても無駄だ。
「ああ、もう勝手に住むなら住めよ!
とにかく山城さんの連絡先を教えろ」
「は~い」
ずっと握っていたのだろう。
陽気に返事をした華子は、
ポケットから1枚のメモを取り出す。
「今週末まで、こっちにいるんだって。
なんかそれまでに会いたいとか言ってた」
「え。…こっちに住んでないのか?」
「さあ。ねえ、山城さんって誰?」
「うーん、何と言えばいいかな。
俺の実の父親の『愛人』って感じ?」
そう、山城麻里は当時、女子高生で。
俺たちから父を奪った張本人だ。
そして、父が最後に愛した人でもある。
最初のコメントを投稿しよう!