[芹香編] 第4章 西村side

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「は?」 「『は?』って何だよ、もう~。 父さん、浮気してなかったんだって。 ほんと俺、安心しちゃったよ」 「な、なんで?」 「だって、品行方正なフリして 女子高生に手を出してたとかさ。 ロリコンとまではいかないけど、 俺、そんな血を継いでるかと思ったら、 正直、気色悪くて。ずっと悩んでたんだ」 そう真剣に話す息子に向かって母は言う。 「あら…やだ。 アンタ、お父さんを疑ってたの??」 ただならぬ空気を感じたのか、 隣りに座っている華子が笑うのを止めた。 そして、母は続けるのだ。 「私、最初から疑ってなかったわよ。 たぶん、哲哉もそう。 やだやだ、そんなことで悩んでたの?」 衝撃の事実判明。 母も兄も、 父の浮気を最初から疑ってなかったと。 「じゃ、じゃあなんで、別居したのさ」 俺の質問に、母はサラッと答える。 「だって、悔しかったのよ。 あの人、すぐに家族を諦めるんだもん」 母の説明に寄れば、 クソ真面目な父が浮気するワケがない、 …さあ、説明してみなさい。 そう思って話し合いの場を設けたのに、 父は言い訳をせず、沈黙を貫いた。 そのことに母は、 深く傷ついたのだと言う。
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