[芹香編] 第4章 西村side

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えぐっえぐっと華子が隣で泣いている。 「和哉がずっと彼女を作らなかったのは、 きっと父さんの影響なんでしょ? 悪いお手本を見せちゃったわねぇ。 お前は本当に父さんソックリで、 何でもウジウジ悩み過ぎなのよ。 母さん、いい加減な気持ちで 言ってるんじゃないんだから。 華子ちゃんと付き合ってみなさい。 和哉には屈託のないコが似合うわ。 クヨクヨしたら、 それを笑い飛ばしてくれる。 立ち止まったら、 力任せに背中を押してくれる。 華子ちゃんみたいなコが、 アナタには必要なのよ」 素直に『うん』と言いたかったけど。 きっと言わなくても通じてると思い、 黙ったまま華子を見た。 饒舌な華子も、 この時ばかりは殊勝な顔をして、 そっと俺の手を握り、静かに微笑む。 …ねえ、父さん。 家族は缶詰みたいに冷たくなかったよ。 優しくて温かくて ジンワリ心に染みるんだ。 ねえ、父さん。 俺も将来、そんな家族を作りたいな。
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