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……
「ごめん、誰とも付き合う気はないんだ」
中学に入り、
何人かに告白されたが全部断った。
好きだの嫌いだの、
そんなことが異常に気持ち悪く、
嫌悪感を抱いていたからだ。
聖人君子に見えた父も、
結局は自分の子供くらいの年齢の
女子高生とヤッていて。
自分にもその血が流れていると思うと、
ゾッとする。
同じ兄弟でも、俺は特に父に似ていて、
たまに母が俺の顔を見て、
複雑な表情を浮かべることが有ったから。
だから余計、
神経質になったのかもしれない。
女子との接触を避け、自分を律し、
品行方正に生きていく。
そうすることにより、
自分で自分を安心させていたのだろう。
…それが。
「哲哉と和哉に会って欲しい人がいるの」
父が亡くなった3年後、
母が再婚すると言い出した。
相手は塗装工をしていて、
4歳の娘が1人いるのだという。
「初めまして!哲哉君、和哉君!!
いきなりは無理だろうから、
徐々に仲良くなってくれると嬉しいなあ」
太陽のように明るいその人は、
父とは本当に正反対で。
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