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少しだらしなくて、適当で。
いつでも屈託なく笑い、
家にたくさんの友人や仕事仲間を呼ぶ。
「ああ、もう!またこんなに散らかして」
「ごめんごめん。でも楽しかっただろ?」
母もたくさん笑うようになったのに。
やはり俺は、
本物の家族にはなれなかったようだ。
なぜなら、妹を好きになったから。
無邪気な顔をして、
手放しで愛情を向けてくる可愛い妹。
この均衡を保つには、
自分の気持ちを押し殺すしかない。
閉じ込めて蓋をして、
気付かないフリをして、
自分を騙しながら生きるしかないのだ。
それもそろそろ限界だと思い始めた頃、
兄が結婚を機に家を出たので、
俺もそれに便乗し、マンションを借りた。
義父は最後まで反対したが、
『彼女をつれ込めないから』と嘘を吐き、
それを強引に説き伏せ。
そうしてやっと、
心静かに暮らしていたのに。
ある日突然、
手荷物1つで妹がやって来て、
一緒に住みたいと言う。
「だってお父さん最近、週3で宴会だよ。
私、うるさくて勉強に集中出来ないもん。
このままじゃ私、赤点取っちゃう」
…同居なんか絶対無理だと思うのに。
不思議なことに、
一緒にいたいと渇望する自分もいて。
「お兄ちゃん、お願い。ね?ね??」
長い長い葛藤の末、
結局『いいよ』と承諾してしまうのだ。
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