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芹香ちゃん、いいコなんだけどな。
愛されて育ったのが伝わってくるし。
人を疑わないというか毒が無いと言うか。
ああ、そっか。
華子に似てるのか。
バカだな、俺。
なんだかんだ言ってソコに辿り着くんだ。
どう足掻いても、
華子を好きという事実は変えられない。
「お兄ちゃん、なんで最近帰り遅いの?」
「仕事だから仕方ないだろ」
…本当はわざと寄り道して、
時間を潰してるんだよ。
「お兄ちゃん、また添乗なの?」
「だから仕事なんだって」
…本当は上司に頼んで、
添乗を増やして貰ったんだ。
そんな日々に疲れていたから、
芹香ちゃんちの同居話に割り込んだ。
とにかくこれ以上、
華子と2人で暮らすなんて無理だから。
へ?ははっ。
ヤケクソで言ってみたら、
芹香ちゃんのお兄さんがOKだと。
華子には彼女と同棲すると嘘を吐いた。
華子のヤツ、
ずっと嘘だと疑ってたみたいだけど。
さすがに荷物を運び出したら
納得してくれたようで。
とにかく華子が高校卒業するまでの
辛抱だと思っていたのに。
…そんなに上手くはいかないようだ。
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