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……
芹香ちゃんと昂くんの絡みを目撃し、
そのまま添乗に行って、
今から戻るところだ。
本音を言うと、かなり気まずい。
でもまあ慣れれば平気か。
ずっと俺にバレないよう、
気遣ってくれてたみたいだし、
その厚意に甘えよう…なんて思ってたら。
玄関ドアを開けて、驚いた。
「お兄ちゃん、お帰りなさ~い」
「う、ああっ?!」
瞳をキラキラさせて華子が俺を出迎える。
なっ、なぜだ?
なんでココに??
無邪気な顔して俺に抱きついてくるので、
頑張ってそれを離そうと試みた。
「うふふ、お兄ちゃんの匂い大好き」
「嗅ぐな、俺の体臭を吸うなッ」
離そうとすればするほど、
華子は必死で俺に抱きついてくる。
「お兄ちゃん、すき」
「ば、ばか。
誰かが聞いたら誤解するだろ、
早く離れろって」
ほんと、何の拷問なんだよ。
こんなに密着して、好きって言われて。
自分の人生を呪い始めた、そのとき。
華子が俺のネクタイの結び目を引っ張り、
ぎこちなくその唇を、俺の唇に重ねる。
…は、はああああ?!
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