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「ぶう。もう、鈍すぎるよッ」
そんな捨て台詞を残して、
スタスタとリビングに入って行く。
そのタイミングで玄関ドアが開き、
昂くんが俺を邪魔にした。
「に、西村さん?なに突っ立ってるのさ。
入るんなら早く中に入ってよ」
「え、ああ」
ああ?ああ…。ああッ!ああーッ!!
様々なバリエーションの『ああ』を
頭の中で繰り広げ、昂くんの背中に問う。
「なあ、なんで妹がいるのかな?」
「んー、華子ちゃんさあ、
西村さんの部屋で連泊してるよ」
「い、いつから?」
「西村さんが添乗に行った日から」
よ、4日もいるのか??
「華子ちゃんの話を聞いてあげなよ。
なんか、西村さんの人生が変わるほどの、
大事な報告があるとか言ってた。
それで彼女、一刻も早く伝えたいって、
ずっと待ってたんだよ。
>お兄ちゃんが彼女と暮らす家になんか、
>本当は来たくなかったの。
>でも、これは伝えなきゃいけないから、
>勇気を振り絞って来たんですッ。
…とかなんとか可愛く言ってたけど。
でさ、ごめんね~。
本当は西村さんに彼女なんかいないって、
俺、バラしちゃった」
途中、華子の口調をマネたみたいだけど、
恐ろしいほど似てないし。
ていうか『大事な報告』って何なんだ?
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