[芹香編] 第4章 西村side

9/23
前へ
/23ページ
次へ
「ぶう。もう、鈍すぎるよッ」 そんな捨て台詞を残して、 スタスタとリビングに入って行く。 そのタイミングで玄関ドアが開き、 昂くんが俺を邪魔にした。 「に、西村さん?なに突っ立ってるのさ。 入るんなら早く中に入ってよ」 「え、ああ」 ああ?ああ…。ああッ!ああーッ!! 様々なバリエーションの『ああ』を 頭の中で繰り広げ、昂くんの背中に問う。 「なあ、なんで妹がいるのかな?」 「んー、華子ちゃんさあ、 西村さんの部屋で連泊してるよ」 「い、いつから?」 「西村さんが添乗に行った日から」 よ、4日もいるのか?? 「華子ちゃんの話を聞いてあげなよ。 なんか、西村さんの人生が変わるほどの、 大事な報告があるとか言ってた。 それで彼女、一刻も早く伝えたいって、 ずっと待ってたんだよ。 >お兄ちゃんが彼女と暮らす家になんか、 >本当は来たくなかったの。 >でも、これは伝えなきゃいけないから、 >勇気を振り絞って来たんですッ。 …とかなんとか可愛く言ってたけど。 でさ、ごめんね~。 本当は西村さんに彼女なんかいないって、 俺、バラしちゃった」 途中、華子の口調をマネたみたいだけど、 恐ろしいほど似てないし。 ていうか『大事な報告』って何なんだ?
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

361人が本棚に入れています
本棚に追加