「ユーチューバーになりたい」彼と、小説が上手くなりたい僕 改

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「現実逃避をする為に、ラノベ尽くしの休日を送る草食系男子・32歳らしくないな。押して駄目なら弾いてみろって言うじゃない。俺は良い音色で引かれるぜ」  僕はそう言いながら、左手でメタボな腹鼓をポンと打つ。  「GWに金が無くて寝て過ごすしかない人が何を言いますか。出るのは音色じゃなくて嗚咽でしょう。それなら世間様に引かれる理由も納得です。人は獏じゃないから夢を食って生きられません。人が幸せになる為にはご飯と、ほんの少しのお金が必要なんです」  私は情け容赦の無い罵詈雑言に、うっすらと涙を浮かべながらも傾いてみせる。  「俺には 『小説家になろう』 がある!! 目指せ、異世界印税生活」  小金井君もなかなかのラノベ好きであるからにして、「小説家になろう」も当然のように知っている。  そして彼の好みは「異世界流転」「異世界転生」系であった。  「いや、そもそもアナタが書くものはラノベではないですよ。書きたいものではなく、売れるものを書く、それがプロと言うものです」  小金沢君は過去に私が書いた短編を何度か読んだ事があり、その評価は辛辣きわまりなく、そして趣味が合わない事うけ合いだった。  
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