第1章

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「どうも」と言った。翔太のしなやかな筋肉で引き締まった腹と、美しい均整の取れた胸を見て、客の男はまたもや欲情にかき立てられ、「何だかまたムラムラしてきた。も一回やらないか?」と翔太の腰に手を当てて自分の方に引き寄せて言った。「駄目だよ。今夜はもうこれで終わり、また今度ね。ありがとう、楽しかった」そう言って微笑みながら翔太は、客の男の口元に軽くキスをして部屋を出ていった。客の男は、またもや欲情が沸き起こってきたのを必死で我慢して、別れを惜しみながら翔太をベッドから見送った。客がまた翔太を抱きたいと思わせるテクニックを翔太は心得ていた。つまりリピーターを作るテクニックをだ。相手に自分の魅力を別れ際まで見せつけて、まだ「やりたそう」な客に「また今度」と言って、次に繋げるのだ。しかし翔太があえてそんな手を使わなくても、どんな客でも翔太に一度出会えばその魅力の虜になってしまうのだった。 若い翔太の美しい顔立ちや肢体もさることながら、時折見せる子供っぽく屈託のない笑顔や、時にやんちゃな振る舞いや、時に艶っぽい目をして誘惑してきたりなど、そんなありのままの翔太に、客の男たちはすっかり魅せられてしまうのだった。
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