第二話~その少女は

3/17
前へ
/66ページ
次へ
少女を椅子に座らせ、その正面に俺が座る 生憎客人として招いたわけではないため、茶は出していない 「…さて、まずは名前を聞こうか」 「…」 「ここまで来たのなら知っているとは思うが、俺は三影 龍介(ミカゲ リュウスケ)だ。よろしく…とは言えないな」 「…」 少女は俺を見つめるだけで何も言おうとはしない …なぜだろう、この紅い瞳を見ているとどこか気が遠くなって… 「あ…」 少女は小さく声を上げると、瞼を閉じてしまった 途端に意識がはっきりとする 「ごめんね…」 謝るということは、彼女が何かした結果なのだろうか 「いや…それよりも、いい加減名前を聞かせてくれないか?」 「でも…」 「何か問題でも?」 「他のだれかをしん仰してるかもしれないから…」 「なんだ、宗教の勧誘か?」 「ちがうけどちがわない…」 「安心しろ、俺はどこも信仰なんてしていない」 「ほんとに…?うそだったらたべるよ…?」 「どういう意味かは知らんが、少なくとも嘘をつくような場面じゃない」 「わかった…こうかいしないでね…?」 「どうせするなら聞いた後でいい」 どうせだ、もう少し踏み込んでやろう 少女は目を合わせないように瞼を開いた 「わたしは…」 そこで一度切り、大きく深呼吸をした すると、紅い瞳が一層紅くなったような気がした 「わたしはツァトゥグアっていうの…しってる…?」 「…は?」 「しらないなら…」 「冗談なら後にしてくれ」 「冗だんじゃないよ…?」 「…そうか。それで、旧支配者が何のようだ?」 「しってたんだ…」 少女…ツァトゥグア(自称)は嬉しそうに微笑んだ 基本的に半開きの目に無表情だから破壊力が何とも…じゃない!
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加