第二話~その少女は

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「ただいまー!」 この声は母さん…って、もうこんな時間なのか 夏は日が暮れるのが遅いから感覚が狂うな 夏休みは特にそうだ 「あら、その子は…」 「いや、コイツは…!」 「家の前にいた黒い子が言ってた子ね。確かに可愛いわ」 「おじゃましてます…」 「いいのよ」 家の前にいた黒いの…まさか! 俺は椅子から立ち上がり、踵を踏んで靴を履き外に出た 門を出てすぐ、塀に寄りかかるようにして一人の少女が立っていた 髪型は黒のボブカット 白で刺繍のされた黒いゴスロリに小さな斜めがけカバン 手には畳んでいる黒い日傘を持っている 黒縁の四角い眼鏡をかけており、その奥には紅い瞳 見た目だけなら少し小柄だが俺と同い年くらいと言ったところか 少女は俺に気づくと柔らかく微笑んだ その微笑みを見た途端背筋に寒気を感じた 「こんにちは、三影 龍介さん…いえ、時間としてはこんばんはの方がいいでしょうか?」 「…微妙な時間だ。どっちでもいいさ」 「あら、人間は挨拶を大切にする生き物だと思ったのですけど?」 「相手にもよる」 「おかしいですね…今の文化を知るために他の子から勧められた読んだ本では、アイサツをしないのはスゴイ・シツレイだって書いてましたよ?」 「それは偏った知識だ。覚えておくにしても、片隅に置く程度でいいだろう」 「そうですか…でも、挨拶は大切だと思いますよ?」 寒気が強くなる どうやら挨拶をしないことが気に入らないようだ
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