4人が本棚に入れています
本棚に追加
それにしても…
「私のこと、可愛いと思いましたか?」
「…急にどうした?」
「外なる神と呼ばれるほどですから、それなりには生きているんですよ。なので、その時代に合わせることもできるんです」
「そりゃすごい。暇つぶしで人を破滅させるような奴は違うな」
「…いくら私でも怒りますよ?」
「俺としては賞賛したつもりだったんだがな」
「私には誤魔化しているようにしか聞こえませんでしたけどね」
「…どうだかな」
実際その通りだったため、これ以上返しようがなかった
それを察したのか、ナイアはまたクスクスと笑い始めた
「三影さんはおもしろいです。もう一度お聞きしますけど、私の眷属になりませんか?」
「その問の答えは同じだ」
「そうですか」
ナイアは残念そうに笑いながら手を後ろに組み、その場でくるりと俺に背中を向けた
「さっきのノーコメントですけど…正確にはノープランです」
「どういうことだ?」
「本当のことを言えば、あの子は三影さんじゃなくて、もっと下衆な人に拾われて欲しかったんですけどね」
「へぇ?」
「それでしたら、もっと好きなように出来たんですけど…」
「それは悪いことをしたな」
「いえいえ、これはこれで楽しそうなのでいいんですよ」
背中を向けたままナイアは歩き出した
少し進むと足を止め、また俺の方に向き直った
「あの子、魅了の使い方がわかってないので苦労するかもしれませんけど、暫く頑張ってくださいね?」
「魅了?あぁ、あれか。視線で魅了とは、まるで…おっと」
「それを口にしたら怒りますからね?」
「悪かったよ」
「わかればいいんです。あ、その気になったらあの子に手を出しちゃっていいですからね?」
「その気になる時がくればな」
「楽しみにしてますよ。その時は覗くかもしれませんけど」
「…いいからもう帰れ」
「はい、失礼しますよ。あ、最後に一つだけ」
「まだ何か…」
「今度は私があの子に教えた方も見てくださいね?クトゥグアだけなんてズルいですから」
「…期待せずに待ってな」
「はい、期待して待ってます!では、今度こそさよならですよ」
ナイアは再び背中を向け今度こそ振り返らずに去っていった
いっそのこと、さっきのことは夢にでもしてしまおうかと思ったが、手に持っているものの所為でそうはならなかった
俺は深く溜息を吐き、家の中へと戻った
最初のコメントを投稿しよう!