4人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日買ったのは明日使って、今夜はこれで出前でも取らない?」
「そうねぇ…そうしましょうか!」
母さんは手を合わせると立ち上がり、幾つかのメニューを持って帰ってきた
それらの写真や名前を見たツァトガは、興味有りと近寄ってくる
「これなに…?」
「この中から選んで注文をするんだが…何か食いたいのはあるか?」
「えっとね、これと、これと…」
気になったものを選び、指さしていく
結局二種類の店舗から出前を取ることになった
それの待ち時間、母さんは再度ツァトガが筒に手を入れ、反対側から出した触手を見ている
それを見たくない俺は風呂の準備に向かった
料理が届き、テーブルに並んだのを見たツァトガの半目は、一瞬ではあったもののすべて開いた
それほどに衝撃的だったのだろう
「たべていい…?」
「ええ、どうぞ」
ツァトガは箸を握るようの持つと、恐る恐るといった風にラーメンの麺をすくい上げた
そして、ちゅるちゅると音を立てて啜る
暫くの咀嚼の後、ゆっくりと飲み込んだ
「…!」
またもや目が開いた
気持ちは分からんでもないけど、ここにきて驚いてばっかだな
「おい…しい…!?」
なん…だと…!?みたいな言い方するんじゃねぇよ
…その後に聞こえた、“人間よりも”ってのは何か聞き間違いだろう
ツァトガは一品ごとに驚きながらも食事をすすめていった
ただ、箸は使い辛かったらしく、途中からフォークとスプーンに持ち替えていた
ツァトガよりも先に満腹になった俺は下を向くと、テーブルの足下に落ちている紙を見つけた
拾ってみると11桁の番号と、Nyarlathotepと書かれている
ずいぶん主張が激しいな
そういえば、ナイアルラトホテップはもっとも個性のある邪神だという記述があったな
「…登録だけしておくか」
俺はその紙を拾い、部屋に戻ろうと席を立った
「りゅーすけ、もういいの…?」
「あぁ、もう十分だ。ごちそうさま」
「ごちそーさま…?」
邪神に説くってのもおかしな話か
「ツァトガには縁のないことだったな。この国の文化程度に思っとけばいい」
俺は紙を持って自室に向かった
最初のコメントを投稿しよう!