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高山奉行は、罪状書を置くと、
「むこう一年間、江戸十里四方への追放といたす!」
三崎太夫は、思わず顔を上げて、
「えっ、死罪じゃないんですか……」
玄介は、半ばホッとして、温情の裁(さば)きがでたか……と思った。
高山奉行は、三崎太夫の傍にいき、
「郷里を離れて五年――この江戸で頑張ってきたのであろう。母親の顔でも見てまいれ」
「お奉行さま……」
三崎太夫は泣きくずれた。
高山奉行は、元の座に戻ってから、
「これにて一件、落着! 一堂の者、解散である!」
それから数日後、仲間や玄介たちに見送られて、旅立っていく三崎太夫の姿があった。
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