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「多分、花魁の簪(かんざし)だろう……」
玄介は、その竹をしならせて、てっぺんを手元に下ろしてみた。
そこには、高価そうな簪が、柄の方を上に向けて、凧糸でガッチリくくられてあった。
そして、その柄の先端は赤く染まっていた。
「間違いねえ。これが凶器だ。しかし、上手く考えたモンだな……」
玄介は、簪を竹の先から外した。
「だけど、これだと、あの障子の穴には入れられても、すぐに元に戻っちゃうよ」
マヤが玄介を見詰めて言った。
「その時に使ったのが、さっきの琴柱と凧糸だろう」
「そりぁ、どういうことだい?」
「この一番窓に近い竹の節を利用して、琴柱を凧糸で、この竹に取り付けたんだ。そして、この半円形のところで、凶器の簪を取り付けた竹を固定したのさ」
「なーるほどー……」
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