どんぐり長屋で殺人――!

9/16
前へ
/16ページ
次へ
「多分、花魁の簪(かんざし)だろう……」 玄介は、その竹をしならせて、てっぺんを手元に下ろしてみた。 そこには、高価そうな簪が、柄の方を上に向けて、凧糸でガッチリくくられてあった。 そして、その柄の先端は赤く染まっていた。 「間違いねえ。これが凶器だ。しかし、上手く考えたモンだな……」 玄介は、簪を竹の先から外した。   「だけど、これだと、あの障子の穴には入れられても、すぐに元に戻っちゃうよ」 マヤが玄介を見詰めて言った。   「その時に使ったのが、さっきの琴柱と凧糸だろう」 「そりぁ、どういうことだい?」 「この一番窓に近い竹の節を利用して、琴柱を凧糸で、この竹に取り付けたんだ。そして、この半円形のところで、凶器の簪を取り付けた竹を固定したのさ」 「なーるほどー……」  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加