遠い記憶

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「これからお宅の教授の説教を聞きにいく」  忍の言葉に賢吾はハハハッと快活に笑った。 「うちの教授サマもお前のごり押しには勝てねーんだ。 お蔭で俺まで駆り出されたぜ。 まぁ、せいぜいおやっさんのぼやきに付き合ってやってくれ」  ため息をつく忍の肩を賢吾はポンと叩いた。 「今回もお前の所見は完璧だった。 他の先生たちも舌を巻いてた。 やっぱ……お前はスゲーよ。 でも俺の本心としては……お前には外科に進んで欲しかったな……」  それだけ言うと彼は、忍の反応を確かめる事無く、じゃあな、と去って行った。 その背中を見ながら忍は心中で呟いていた。 ――悪いな、館山。俺はハナから、切った貼ったの世界に行くつもりはなかったんだよ。  
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