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今出してある花のプランター、鉢植えは、少なく見積もっても軽く十個はあった。
それらは皆、花の時期が終わったものばかりでいつもなら外に出しっぱなしのものだ。
常にぬかりのない奈緒の事だ。
大事な花をうっかり……など絶対にない。
雨風は益々激しくなってゆく。
美羽は受話器を持ったまま固まっていた。
「美羽ちゃん、出来るの? 出来ないの?」
口調はあくまでも穏やかだったが、とても断れるような空気ではない。
暗黙の圧力が受話器の向こうから伝わってくる。
「ちゃんと……やっておくね」
それ以外の答えはなかった。電話の向こうからクスリという冷たい笑いが聞こえた気がした。
「じゃあ頼んだわよ」
その言葉で電話がぶつりと切れた。
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