胸騒ぎ

24/24
前へ
/35ページ
次へ
 傘も役に立たないこの嵐の中、外に出ようとする者はおらず、また、今ここへやってくる者もいない。 ひと気のない通用口には、びゅうびゅうと吹き荒れる風と、打ち付けるような雨の音しかしなかった。 「少し、傍にいて」  その声は、風と雨の音にかき消されそうなほど、頼りないものだった。  
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加