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忍はパソコン画面に映し出された心臓血管画像を胸ポケットから出したボールペンで指さしなぞりながら佐倉と考える。
「この画じゃ確定はできないが、このLAD(左前下行枝)7番をバルーンで拡張すればステントの必要はないだろう」
「そうか……いいな、それでイケそうだ。
んじゃ、明日心エコーとレントゲンだな。その結果次第でまた詰めよう。そん時また頼むわ」
「分かった」
そう言った忍は佐倉に引き継ぎの申し送りをし、立ち上がった。
「今日は俺は帰る。後は頼むな」
「おう。お疲れさん」
佐倉はパソコンを睨んだまま軽く手を挙げた時だった。
「緒方先生!」
看護師が一人、ナースステーションに飛び込んで来た。
パソコン画面を見たままの佐倉がクッと笑い呟いた。
「緒方、きっと帰れねーぞ」
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