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明日からここで働くのに備え、それらを一通り見ておこうと忍が視線をそのモニター群に向けた時だった。
一つの心電図モニターが異常を知らせる警報音を鳴らし始めた。
直ぐにそのモニター、患者の様子が映し出された画面を見た忍の表情が、凍りついた。
「美羽……?」
30センチ画の画面の中で、沢山の点滴の管に繋がれ、眠る少女。
忍はこの時初めて、全身の血の気が引く、という感覚を知った。
「美羽ちゃん! どうしよう、こんな時に!」
モニターに気付いた看護師が声を上げた。
「先生、誰か呼び戻さないと……」
「いや、俺がやります!」
看護師の言葉を忍が遮った。
「緒方先生?」
驚く看護師に、忍が静かに言った。
「妹なんです――」
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