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「緒方先生! しっかりしなさい!」
茫然と立ち尽くしていた忍にベテラン看護師が厳しい口調で一喝した。
ハッとした忍は、美羽を見る。
血の気のない白い顔で酸素マスクを当てられ眠り続ける美羽。
忍の表情が変わった。
「俺が、助けてやるから」
呟くように、しかし、しっかりとそう口にした忍は顔を上げ、看護師から聴診器を受け取ると怒涛の勢いで指示を出し始めた。
「とりあえず、生食注中止! ラインはこのままで、ここにシリンジポンプを繋げてください。
プレドバ注200を、そうだな……10ガンマで毎時――」
集まって来ていた看護師が忍の指示に従いそれぞれ機敏に動き出した。
忍は、コードブルーの現場に行っていたが、邪魔にならぬよう、と戻って来、何事かと顔を出した研修医をも捕まえ、指示を出した。
「ICUでダイアライザーを借りてきてくれ! とにかく水を抜く!」
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