4年前の悪夢

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 今でも胸に残る苦い記憶に、忍は眉間を押さえた。  犯したミスも去る事ながら、事が公にならず、もみ消されるように沈静化したのは、患者が当事者の身内だった事によるものが大きい。 それはあまりにも皮肉すぎる。  瀕死の状態で眠る美羽を目の当たりにした瞬間、忍の脳裏に紗羽との約束が蘇った。 彼女が残した掛け替えのない宝物。 このままでは失う。 そんな事は決してさせない。 あの時、そんな想いが脳裏に目まぐるしく交錯していた。 しかし、自分はあの時、あまりにも未熟だったのだ。  全ては、自分の責任――。 「ごめんな、美羽……」  柔らかな長い髪を撫でていた忍は、紅色を取り戻した彼女の唇に、静かにキスをした。  忍は考える。 これ以上踏み込むのは、危険だ、と。  抜けられなくなる。戻れなくなる。  ならば、突き放す――!  嫌うよう、仕向ければいい!  
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