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唇に触れる温もりと柔らかな感触に、美羽の意識が緩やかに覚醒していく。
ゆっくりと目を開けていくと、唇に触れていたものがそっと離れていった。
そして、
「眠りの森の何とかだな」
聞き慣れた声が美羽の耳に滑り込んできた。
まだ薄ボンヤリとする頭に、暗がりの中でぼやける視界。
美羽は必死に考えを巡らせた。
手を伸ばして目を擦ろうとした時、何か違和感を覚えた。
身体全体、肌に直に伝わってくる温もりだった。
あきらかに、別の誰かの肌の感触。
美羽は、ゴクリと固唾を呑んだ。
小さな明かりが点いてはいるが、辺りを見回す勇気は、無い。
けれど、と両手で自分の身体を確かめ――
「ああっ!」
自分が全裸であることに、一気に覚醒し、ガバッと起き上がろうとした美羽は、
「ちょっと待てって」
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