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「いた……っ」
花を拾おうとした時、手にしていた茎の棘が指に刺さった。
人差し指の先に小さく血が滲み、奈緒がその指を口に入れて舐めた時だった。
作業台に置かれていた携帯が受信音を鳴らした。
相手を確認し、奈緒は通話ボタンを押した。
「ああ、大河君」
電話の向こうから、お世話さまです、という若い男の声がした。
男はそのまま言葉を継いだ。
「更新画像上げてみた。
デザイン後でチェックして連絡してくれ。
オッケーだったらそのままアップするからさ」
ありがとう、と答えた奈緒は携帯片手に作業台の傍らにセットしてあるパソコンを開いた。
パパッと操作し、メールを開く。
そこには奈緒の、フラワーアレンジメント教室のホームページのサンプルが添付されていた。
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