絡み合う思惑 #2

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「ねぇ、大河君、今誰か決まった人とかいるの?」  不意を突く奈緒の問いかけだったが大河は即答する。 「特定のはいない」  短い言葉だったがその一言から様々な事が窺い知れた。 大河は飾らぬ気さくな男で、容姿もスマートであか抜けており好青年だ。 相手には事欠かないのだろう。  奈緒はフフと笑う。 「美羽を貰ってくれる?」  キーボードを叩く音が初めて止まった。 僅かの間を置いて、大河が息を吐く気配がした。 「奈緒おばさん、それはムシが良すぎるんじゃないか?」  声の調子が変わった。 微かに、呆れた感が伝わってくる。 「俺、高校に入ってすぐの頃、美羽をくれ、って言ったよな。何回か。 ……まあ、あん時はまだガキだったのもあるけどさ……おばさんまったく相手にしてくれなかったよな」  奈緒は、そうねあの時は子供だったもの、と答えたが……。
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