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奈緒の直感 #2
忍の手際の良さを、美羽は下着を着けるのも忘れ見入っていた。
忍はそんな美羽に気付き、クスリと笑った。
「早くしろ、そんな恰好でそこにいて、母さんに何て言い訳するんだ?」
あっ、と美羽は我に返ったように慌ててブラとショーツを着けた。
ブラウスのボタンを締め、スカートを整える。
美羽の支度が整ったのを確認した忍は「美羽、こっちに来い」と手招きした。
美羽がパタパタと走り寄ると、トースターがチンと音を立てた。
忍は美羽の手を優しく取ると、キッチンの方へ引き寄せ、抱きしめた。
「おにいさん?」
美羽は腕の中でハラハラとする。
今にも母がドアを開けて入って来そうな緊張に身体を固くした時。
「いいか、美羽」
忍が美羽の耳元で囁いた。
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