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約束のチケット #2
「美羽ちゃんっ! 心電図が大変な事に!」
「えええ!」
美羽の透析機械に終了した事を知らせるランプが灯り、ブザーが鳴った為、傍にやって来た看護師は心電図モニターを見、声を上げた。
ガバッと半身を起こした美羽に彼女は「うそよん」といたずらっぽく笑った。
「えー、もー……」
一気に脱力した美羽は、再び枕に頭を付けた。
はー……と息をつき、両手で顔を覆った。
隣のベッドで透析の機械が回る規則正しい音が美羽の耳に響き入って来、自らの心音に呼応させ、気持ちを落ち着かせる。
「大変、とまではいかないけど変化はあるわね」
カルテやモニターを見て針を抜く準備を始めた看護師が優しく美羽に語り掛けた。
「変化?」
顔を覆っていた手を外した美羽が看護師を見た。
看護師は、意味深な笑みを浮かべて美羽に近づいた。
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