約束のチケット #2

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「何か、いい事あった?」  美羽の胸がドキンッと鳴った。 「ど、どうしてっ?」  心が読まれるような値が血圧や血液検査、心電図から分かるというのか。 美羽の声は裏返り、一気に顔が火照るのを感じた。 「分かりやすい」  頬を染めた美羽を見て、看護師がクスクス笑い、小声で囁いた。 「彼氏ができたとか?」 ‘彼’  その言葉には、少し疑問符が浮かんだ。 美羽は小さく首を傾げた。 ‘彼氏’というには、まだ今一つ、何か違う気がした。 「好きな人が……できたんです……」  そうとしか言えなかった。  相手の事は公にできる関係ではない。 美羽の胸がきゅ……と締まった。 なにより、兄の心の底、深淵が完全に見えた訳ではないのだから。 思い直してみれば‘兄の心’など、自分には分不相応に思えてならなかった。
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