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その言葉には、胸が一杯になり、頷く事しか出来なかった。
何も言葉に出来なかったが、美羽は心の中で必死に訴えていた。
お兄さんと出かけられるなら、何処でもいい――!
「みーうちゃん!」
抜針を終え、止血をしてもらっている美羽のところへ、別の若い看護師が嬉しそうな、満面の笑みをその顔に浮かべてやって来た。
「な、なんですか?」
昔からここにいて美羽もよく知る、若い看護師は、いつにない楽しそうな様子だ。
美羽は身構えてしまう。
ウフフと手で口を押えた看護師は、美羽に小声で囁いた。
「久しぶりにお兄さんが、お・む・か・え」
美羽は。
「えっ、うそ!」
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