約束のチケット #2

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 美羽の問いに、フッと笑った忍が答える。 「迷惑だったか」  忍の流し目を受けた美羽は飛び上がらんばかりに胸を跳ねさせた。 恥ずかしさにサッと逸らせた視線を車窓に向けた美羽は、ぼそりと言った。 「う、嬉しいですよ。 嬉し過ぎて驚いたの。 だから……」  そんな美羽の様子に忍がクスリと笑った時、信号が赤となり、車が停まった。忍は美羽の手に白い封筒を渡した。 「今日はこれを美羽に渡そうと思って迎えに来た」  渡された封筒を見た美羽は忍の横顔を見上げた。 「これは?」 「開けてみろ」  細い長方形の横型封筒。 何かのチケットが入っている事が窺え、美羽の胸に、淡い期待のようなものが膨らんだ。 震えそうな手で封筒を開けると、予想通り、チケットセンターで印字されたと思われる券が2枚。 その内容を見た美羽の動きが止まった。 何と言って良いのか分からぬ美羽は、封筒から出し掛けたチケットを凝視したまま、固まっていた。 その公演とは。 「美羽。今、美羽の中に残っている‘未練’を、それで断ち切れないか」
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