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あの時、大河は美羽を、大好きだった美羽を、最低最悪のやり方で突き放す事しか思いつかなかったのだ。
恥ずかしそうに、躊躇いながらも、大河に身を委ねていった美羽に大河はとんでもない言葉をぶつけた。
「ごめん、萎えた。
やっぱ俺、美羽みたいな女、抱けねえわ」
あの瞬間の、美羽の目は、二年経った今でも大河の瞼に焼き付いたまま消えていない。
目を閉じ、深呼吸をして気持ちを整えた大河は改めて、俯く美羽を見た。
美羽は、二年前よりもほんの少しふっくらして見えた。
照明のせいか、顔色も明るい。
綺麗になった。それが、大河の率直な印象だった。
この席が、奈緒の一方的な目論見によってセッティングされたことは、美羽の様子を見れば一目瞭然だった。
とりあえず、席を立って逃げる訳にはいかない。
この場をなんとかしなければ。
大河はそう自身に言い聞かせ、あの頃の美羽に思いを巡らせながら話しを切り出した。
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