望まぬ再会の行方は

9/11
前へ
/35ページ
次へ
 謝らなければいけないのは自分なのに。 罵ってくれたら忘れられたかもしれないのに。 「女々しいと思われるかもしれないけど……あの時、美羽が俺を責めてくれたら俺は救われたのかもしれない、なんてずっと思っていた」 「好きだったから」  美羽の、意外な返しに大河は、え、と目を丸くした。 美羽が、少し悲しげな顔で言葉を継いだ。 「私、大河の事が本気で好きだったから。 だから、大河をそんな気持ちにさせてしまった事の方が、悲しかったの。 大河に申し訳ない気持ちの方が、あの時は大きかった。 だからあんな事言ったの」 「美羽……」  美羽の言葉には、嘘はなかった。小学校の時から、ずっと傍にいてずっと守ってくれていた大事な幼馴染は、いつしか恋の対象となった。 本気で、好きになった。 彼も、自分を想ってくれていた事を知っていたから、自分の病気のせいで、彼をがっかりさせてしまった悲しみの方が、その時は大きかった。  美羽は、瞬きも出来ずに自分を凝視する大河に、肩を竦めてクスリと笑いかけた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加