茶柱

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 窓際で頬杖を突き、流れる街明かりを瞳に映す美羽はある事に気付いた。  あの、大河との過去の出来事は、初めて兄と二人きりで過ごした嵐の夜の出来事に似ていた。 状況は違えど、二人とも美羽を突き放す行為に出た。 けれど、美羽はまったく違う言動を取っていた。 どうしてだろう? と頬に添えていた手を離した美羽は、当時の状況に思いを巡らせた。  兄に対しては、ほとばしるような感情が、理性という堰を切った。  美羽は、両手で顔を覆った。  会いたい。  込み上げるのは、兄に対する堪らない切なさと愛しさ。  美羽の中に、忍の姿が浮かんだまま消えることがなかった。 胸迫る、押し寄せる感情は、息苦しさと痛みを伴う。 じくじくと痛む胸は涙を誘った。  私は、こんなにお兄さんの事が好きになっていたんだ。  切なさに詰まる胸に、息を入れようと美羽が深呼吸した時、バッグの中の携帯が鳴った。 相手を見た美羽は荷物を抱えて席を立つと乗降口がある廊下へ出た。 幸い誰もいなかった静かなそこで、携帯の通話ボタンを押した美羽はそれを耳に当て、言った。 「テレパシーが通じたみたい」
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