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「大トラになった奈緒だったんだよ」
困った顔をしながら和也がリビングのドアを開けた瞬間、美羽は顔をしかめた。
酒の香りが美羽の鼻を突いた。
リビングに充満していたアルコールを含んだ空気が一気に廊下に流れ出たようだった。
普段、ほとんど飲酒をしない美羽は、その香りだけで酔いが回りそうだった。
鼻と口を押えた美羽を見て、和也は真夜中にも関わらず、リビングの窓を全て開け放った。
部屋を見回した美羽は驚いた。
いつもならモデルハウス並みに片付いている二十畳近いリビングに、酒の瓶が散乱していた。
その中には倒れ転がり、こぼれた酒で床を汚す瓶も。
一人で呑んだ筈なのに、テーブルの上には幾つものグラスが無秩序に並んでいた。
「お母さんが一人で……?」
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