この関係を保つのか、それとも #2

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 薬膳コーディネーターの資格を持っていた楓花は廃業寸前だったこの店を蘇らせる為に一念発起し、姑と店の経営権を巡り対立。 結果、経営実権の全てを奪取した、いうことだった。  その後、料理の腕もさることながら、商才にも長けていた楓花は、店の大改革に乗り出した。 提供する料理を自らが得意とする薬膳に特化し、それを大々的に、ありとあらゆる手段を用いて売り込んだ。 ‘薬膳’は近年の健康ブームに乗っかって当たり、今や健康を気にする政財界の大物を始め、美と健康を意識する女性達等、様々な人がこんな郊外まで足を運ぶ程の人気の店にしたという。  大河といい、楓花といい、非凡な経営手腕を持った姉弟といえそうだった。  大河から聞かされた楓花の話に関心仕切りの美羽はため息混じりに言った。 「すごいね、楓花お姉ちゃん」 「色んな意味ですごいよ」  大河は半ば呆れ気味に続けた。 「お姑さんを隠居に追いやって、姉貴社長で旦那さん以下みんな姉貴の部下だからね。 今や梅宮家の女帝だぜ。もう誰も逆らえねえ」
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