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困ったような顔で笑った大河と一緒に笑った美羽だったが、ふと思い浮かんだ疑問を投げかけた。
「そう言えば、大河が私をここに連れてきてくれたのはどうして?」
美羽の率直な問いに大河は答えを詰まらせた。
「いや、ここなら美羽に旨いもの食わせられるかな、と思ったから……」
頭を掻き、どこか照れくささをにじませた、珍しく歯切れの悪い大河に美羽が首を傾げた時、仲居が廊下から声を掛けた。
「失礼いたします。お料理、お運びします」
襖が開き、三つ指付いて挨拶をした仲居達がお膳を運んできた。
瞬く間に大河と美羽の間にある卓の上が艶やかな料理で一杯になる。
どれも凝った趣向の見目鮮やかな料理だった。
「おいしそう……」
感嘆の声を漏らした美羽に、大河がふわりと笑った。
「見た目、派手だけど、ちゃんと薬膳なんだ。美羽の身体に負担になるものはそんにないと思うから心配するな」
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