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豪勢でボリュームたっぷりに見えた料理だったが、そこは薬膳。量も見事に調整されていた。
どんなものもなかなか完食する事のできなかった美羽が、今夜はすっきりと皿を空にした。
「ごちそうさまでした」
最後に出てきたサツマイモと生姜を使ったお茶漬けを食べ終えた美羽は手を合わせてゆっくりと噛みしめるように言い、頭を下げた。
大河はそれに応えるように一緒に頭を下げる。
同時に顔を上げて視線を合わせた二人はアハハと笑った。
「旨かったか?」
椀物の蓋を片付けながら言った大河に美羽は、うん! と元気に答えた。
「すごくおいしかった!
それに、お家でも作ってみようかな、って思えるお料理もあって……」
「そうよー」
片づけにきた仲居に会釈しながら話していた美羽の言葉に呼応する声。
顔を上げると、デザートの乗った盆を持った女将の楓花が部屋に入ってくるところだった。
「それが薬膳なの」
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